2015/11/05
平成27年10月31日福島市で日本小児感染症学会が開かれ参加してきました。
エンテロウイルスD68:マスコミで現在騒がれている「エンテロウイルスD68:多発する急性弛緩性麻痺と重症呼吸障害の原因か?」緊急フォーラムに参加し、直接担当の先生達の講演を聴く機会を得ました。3人の先生達の話しがありましたが、2014年エンテロウイルスD68(EVD68)は、米国を中心に、呼吸器感染症や急性弛緩性麻痺の原因として報告され国内発生に注意していたとのことです。平成27年9月上旬に喘息様下気道症状を呈する患者さんが東京で多発し、病原体検索がなされ5例中4例からエンテロウイルスD68が検出されたとのことです。症状はほとんどが感冒症状から呼気性の呼吸障害が出現し、感冒症状から1週間後に弛緩性の麻痺が出現してくるとのことです。脊髄のMRIでは脊髄の前角が炎症を起こしていて、小児麻痺との鑑別が必要との事です。重症の呼吸障害の場合気管内挿管となり呼吸障害も弛緩性麻痺も治療抵抗性で後遺症が残りやすい様です。疫学的にエンテロウイルスD68が疑いがあるとのことですが、原因はまだ特定されていません。今後の解明が急がれます。エンテロウイルスD68だとすると夏風邪ウイルスですので夏から秋が流行時期と考えられますので、徐々に収まっていく公算が大きいと思われます。
ロタウイルス予防接種:ロタウイルスは多彩な症状をきたすウイルスですが、予防接種(ロタリックス、ロタテック)の予防作用の発表が三都市、3人の先生よりありました。神戸市、新発田市、札幌市よりロタワクチン導入後摂取率が50%を超えると予防作用が得られること、そして60%前後のロタウイルス胃腸炎の抑制作用が報告されました。作用が証明されているので、高額ですがお子さんのために接種することをお勧めします。
インフルエンザウイルス:インフルエンザウイルス感染症は自然に改善に向かう病気ですが、抗インフルエンザ薬を投与することにより早く解熱が得られ、ウイルスの排泄も早く消失し、家族内の感染が抑えられる報告がありました。
今後の臨床に活かしていきたいと思います。