瀬川小児科アレルギー科医院/三島市寿町の小児科・アレルギー科

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第21回食物アレルギー研究会に参加して

第21回食物アレルギー研究会が令和3年2月25日から3月16日までWEB開催にて、藤田医科大学ばんたね病院の近藤 康人先生の会長により開催されました。「食物アレルギー患者のQOL向上への取り組み」では、「加工食品のアレルギー表示の最新情報」消費者庁、高橋 亨先生よりクルミによるアナフィラキシーショックが増加してきていて表示の義務化を含めた検討が現在なされているとの報告がありました。
近藤 康人先生の会長講演「果物アレルギー診療のアップデート」では花粉―食物アレルギー症候群について講演があり、リンゴによる緩徐増量法による経口免疫療法、桃のアナフィラキシーをおこすGRPタンパクについて話がありました。GRPというタンパクはジャムや缶詰にても口腔症状にとどまらず全身症状を来すことがあるので注意が必要とのことです。加工食品を含め除去が基本になるとのことでした。
午後の特別プログラムでは
1.「食物アレルギー診療ガイドライン」改訂に向けての海老澤 元宏先生(国立病院機構相模原病院)より一部解説がありました。ポイントとしては、食物負荷試験の医療機関の分類がなされ、①一般の医療機関②日常的に実施している医療機関③専門の医療機関と広く経口負荷試験が行われるような取り組みがなされるようです。
2.人工栄養と食物アレルギーの発症では浦島 充佳先生(東京慈恵会医科大学)よりお子さんの貴重な食物アレルギーの話を聞くことができました。生後72時間までの母乳栄養は、2歳までのアレルギー疾患の発症を抑える可能性のある話でした。
3.食物経口負荷試験の層別化では佐藤 さくら先生(国立病院機構相模原病院)では食物負荷試験のリスクに応じて医療機関を選択し総負荷量を選択することで安全性の向上を目指すとのことです。
4.わが国のアドレナリン自己注射剤(エピペンⓇ)処方状況では貝沼 圭吾先生(国立病院機構三重病院)NDBデータを用いてエピペンの処方状況、解析をおこなった報告です。
5.成人領域の食物アレルギーでは福冨 友馬先生(国立病院機構相模原病院)では、食物依存性誘発アナフィラキシーが必ずしも運動だけで誘発されるのではなくAugmentation factor-triggerd food allergyが病態を示しているのではないかと問題を提起していました。
WEB開催で残念ですが、今後の増加する食物アレルギーの臨床に活かしていきたいと思います。