2022/05/26
第8回臨床アレルギー講習会~Total Allergistをめざして~が2022年3月26日(土)~27日(日)、オンデマンド配信:4月11日(月)~5月10日(火)、パシフィコ横浜ノースにて、会長東京女子医科大学呼吸器内科教授多賀谷 悦子先生にて開催されました。
この講習会はトータルアレルギーを学ぶ機会として講義と実習の二本立てが特徴です。私自身3月26日、3月27日のライブと4月11日からのオンデマンド配信に参加することができました。
この講習会で臨床の柱である各種のアレルギー疾患ガイドラインを取り上げています。成人喘息は永田 真先生(埼玉医科大学呼吸器内科/埼玉医科大学病院アレルギーセンター)による「喘息予防・管理ガイドライン2021」の講演で、新たに吸入指導のすすめ方(デバイスの変更)が追加、デバイス選択のフローチャートが新規作成、ICS/LABA/LAMA(トリプル製剤)の追加、アレルゲン免疫療法の追加、ステップダウンの考え方の記載がなされました。鼻アレルギーは後藤 穣先生(日本医科大学付属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科)による「鼻アレルギー診療ガイドラインー通年性鼻炎と花粉症―」の講演で、杉花粉症有病率は増加傾向にあり2019年の調査では全国平均で38.8%におよぶ。低年齢層の有病率も増加している。重症/最重症の治療としてIgE抗体であるオマリズマブが推奨されていることが述べられました。小児喘息は足立 雄一先生(富山大学学術研究部医学系小児科)の講演で「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン」で、エビデンスに基づくガイドライン(CQに対する推奨)の活用、小児期の呼吸機能の低下は成人期の予後と関係する、合併症を考慮したTotal Careとしての喘息診療の実践を述べています。
「アレルギー性結膜疾患~新診療ガイドラインのポイント」は海老原伸行先生(順天堂大学医学部附属浦安病院眼科)の講演で、新しい疫学調査が示されました。また、環境物質の関与が示されました。新しい病態として、自然型アレルギーの概念が採用されました。新しい治療法・薬剤の可能性も示されました。「アトピー性皮膚炎―病態生理、疫学、診断、重症度、治療―」は佐伯 秀久先生「(日本医科大学大学院医学研究科皮膚粘膜病態学分野)の講演で、アトピー性皮膚炎の診断基準、EASIを使った重症度、皮疹の重症度とステロイド外用薬の選択、外用としては新しい治療を切り開いているPDE阻害薬、JAK阻害薬などの話がありました。
「食物アレルギー/診療ガイドライン2021」は海老澤元宏先生(国立病院機構相模原病院臨床研究センター)の講演で、IgE依存性食物アレルギーの新しくなった臨床型分類、α―Galアレルギー、PGAアレルギー等の珍しい食物以外の抗原感作による食物アレルギーの分類の表追加、食物アレルギーの発症予防のまとめの人工乳の扱いはまだ明確になっていません。負荷試験を実施する医療機関の区分けと負荷試験の総負荷量の決定、乳児食物タンパク誘発胃腸症の分類と特徴等の話がありました。